新生児の
便はゆるい?
下痢と
正常な便との
見分け方を解説

お腹のトラブル

ゆるうんち これって大丈夫? 正常な便と下痢の違い

おむつを替えるたびに「赤ちゃんのうんちがゆるい」と心配になったことはありませんか?

新生児期は、大人と違って便がゆるいのが一般的です。
しかし、その中には病気のサインである「下痢」の状態が隠れていることもあります。
この記事では下痢と正常なゆるい便の見分け方、受診すべきサイン、脱水チェックをご紹介します。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的指導に代わるものではありません。
心配な症状がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

そもそも新生児の便は
なぜ「ゆるい」のか?

まず前提として、新生児の便は非常にやわらかい〜ゆるいことが多く、
特に母乳栄養では水っぽく見えることも珍しくありません。
その主な理由は次のとおりです。

栄養源が液体
(母乳・ミルク)であるため

新生児は水分と栄養のすべてを母乳やミルクから摂取しています。
固形物を食べていないため、排出される便も液体状〜泥状になります。

消化機能が未熟であるため

赤ちゃんの腸はまだ発達段階にあります。
便を腸の中に留める力が弱く、便から水分が十分に吸収されないため、
便に水分が多く残りやすく、結果としてゆるい便になります。

【母乳栄養の場合】
母乳に含まれる成分のため

特に母乳で育っている赤ちゃんは、ミルクの赤ちゃんに比べて便がゆるい傾向があります。
これは母乳に多く含まれる「ヒトミルクオリゴ糖(HMO)」が消化されずに大腸まで届き、
便中の水分量を増やすことが一因と考えられています。

また、新生児期には便の回数も、
母乳で育つ赤ちゃんの方がミルクの赤ちゃんよりも多い傾向にあります。
個人差も大きくあくまで目安にはなりますが、新生児期の便の回数は、
母乳の赤ちゃんで1日7~10回程度、ミルクの赤ちゃんで1日5~10回程度です。

「赤ちゃんのうんちやおしっこの回数とは?」

下痢を疑う
ポイントは?

米国小児科学会(AAP)では、赤ちゃんの下痢は単なる軟便の状態を指すのではなく、
1日の排便回数が12回に及ぶこともある水様便の状態を指すとしています。

ただし普段から10回以上排便する赤ちゃんも中にはいるため、目安としては、
便の回数とゆるさが普段より増し、水のような便が1日に何回も続くようであれば、
下痢の可能性を考えましょう。

さらに、便に粘液や血が混じる・悪臭が強い、授乳が進まない、ぐったりする、
発熱・嘔吐を伴う
といった全身症状がある場合は、病的な下痢が疑われます。

新生児が下痢になる
主な原因

下痢を引き起こす原因としては、主に以下のようなものがあげられます。

Check

【急性下痢】

  • 細菌やウイルスへの感染
    (例)ノロウイルス・ロタウイルス・サルモネラ菌・腸管出血性大腸菌など
  • 抗生物質の服用
  • 冷えや母乳・ミルクの飲みすぎ
Check

【再発性下痢】

  • 牛乳アレルギー
  • 乳糖不耐症(先天的なラクターゼ活性低下)

新生児は、お腹の中でママから受け取った抗体(IgG)や、
母乳に含まれる免疫成分(IgA)によって病気から守られています。
とはいえ、赤ちゃん自身の免疫機能は未熟なため、
完全に防げるわけではないことに注意しましょう。

下痢で注意すべき
「脱水症状」のサインと
受診の目安

新生児の下痢で最も注意すべきなのは、体内の水分が失われる「脱水症状」です。
赤ちゃんは体重に占める水分の割合が高く、水分の出入りも大きいため、
大人よりも短時間で脱水に陥りやすいとされています。

以下のサインが1つでもあれば、脱水が進んでいる可能性があります。

Check

【脱水症状の
チェックリスト】

  • おしっこの回数・量が減る(8時間以上おしっこが出ない、色が濃い黄色)。
  • 唇や口の中が乾いている。
  • 泣いても涙が出ない。
  • 大泉門(頭のてっぺんの柔らかい部分)が凹んでいる。
  • 皮膚のハリがない(お腹の皮膚をつまんで離しても、すぐに戻らない)。
  • ぐったりして反応が鈍い、機嫌が悪い。

脱水症状のサインが見られた場合は、迷わずすぐに医療機関を受診してください。

助産師
からの
アドバイス

また、下痢だけでなく「嘔吐」や「38℃以上の発熱」を伴う場合や、便の色に異常がある場合(赤色、白・クリーム色、黒色)も、速やかにかかりつけ医に相談しましょう。
(※ただし、生後1〜2日の黒い便は「胎便」と呼ばれる正常なものです。それ以降に続く黒色便は注意が必要です。)

受診の際は、スマートフォンで便の写真を撮って持参すると、口で説明するよりも色や状態が正確に医師に伝わります。

「新生児のうんちの色は変化する?」

下痢のときの
家庭でのケアと対処法

家庭でケアする際には、とくに以下のポイントを押さえておきましょう。

こまめな水分補給

下痢で失われた水分や電解質を補う必要があります。

基本は母乳・ミルクをいつも通り続けましょう。
吐きやすいときは、1回量を少なめにして、回数を増やして与えるのがポイントです。
ミルクは薄めず通常の濃さで作りましょう。

また医師の指示があれば、赤ちゃん用の経口補水液を使うこともあります。
スポーツドリンクやジュース等は糖分が多く電解質の量も適切でないため、
乳児の下痢の補水には向きません。

おむつかぶれ対策

下痢便に含まれる未消化の酵素は、皮膚への強い刺激となります。
特に新生児は肌が薄くデリケートなため、下痢が続くとおしりが赤くかぶれやすくなります。

おむつ替えの際には、おしりふきでゴシゴシこすらず、
ぬるま湯でやさしく洗い流すことで症状が悪化しにくくなります。
タオルで水分を拭き取る際も、こすらずにやさしく押さえるようにしましょう。

きれいにした後は、ワセリンなどの保湿剤を塗り、皮膚を保護しましょう。

二次感染の予防

下痢の原因が細菌性・ウイルス性胃腸炎などの場合、家族へうつることがあります。

おむつ交換の後は石けんと流水で丁寧に手洗いを行いましょう。
汚れたおむつはビニール袋に入れて口をしっかり閉じ、適切に廃棄します。
おむつ交換台や床など便で汚れた可能性のある場所は、
家庭用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)などを用いて消毒します。
消毒の方法は製品表示や公的機関の推奨に従い、
換気をしながら手袋を使用するなど安全に配慮してください。

まとめ

新生児の便は、母乳やミルクなどの液体栄養を摂っていることや、
消化機能が未熟なことから、もともとゆるいのが普通です。

下痢かどうか迷ったときは、以下のポイントをチェックしてみてください。

Point

下痢を見分ける
チェックポイント

  • 普段より排便回数が急増し、水分量が多くなっている。
  • 水っぽい便が続き、授乳量が減る、または不機嫌である。
  • 発熱、嘔吐、便の色や臭いの明らかな変化がある。

病気が疑われる症状があるときや、下痢に伴ってぐったりしているなど
脱水の兆候が見られるときは、速やかに医療機関を受診してください。

【監修】:森崎美穂
(看護師・助産師)

京都大学医学部附属病院の周産期母子医療センターにて10年間勤務。
病棟での分娩介助や産後の育児支援、ベビーケアに携わる。
現在はクリニックで分娩介助をしながら新生児育児に関する情報発信に携わる。

参考資料

関連記事をもっと読む

読みもの一覧を見る ▶︎