新生児が
ミルク
飲み過ぎている
サインとは?
対応策も解説

ミルクの基礎

生後28日未満の新生児期では、飲むリズムも胃腸の働きも未熟なため、
吐き戻しや飲み過ぎへの不安がつきものです。

少量の吐き戻しは多くの赤ちゃんに見られるもので、
体重が順調に増えていれば心配ないケースがほとんどです。
一方で、哺乳瓶の場合は乳首の流量や授乳の進め方によって赤ちゃんが早いペースで飲みやすく、
満腹サインを見落とすと飲み過ぎにつながることがあります。
そこでこの記事では、飲み過ぎかもしれないサインや対応策、
病的な吐き戻しとの見分け方について分かりやすく解説します。

これって飲み過ぎ?
新生児が出すサインとは

赤ちゃんは言葉で「お腹いっぱい」「苦しい」と伝えることができません。
そのため、大人が身体的なサインを読み取ってあげる必要があります。

ミルクの「飲み過ぎ」が数日から数週間続くことにより起こる、
いわゆる「過飲症候群」の典型的な症状は以下のとおりです。

鼻水・鼻づまり、
喘鳴(ぜんめい)

飲み過ぎた母乳やミルクが胃から逆流することで、
喉がゼロゼロと鳴ったり(喘鳴)、鼻水・鼻づまりなどの
一見風邪のような症状が見られたりする場合があります。

お腹の張り

授乳後、お腹がパンパンに膨らみ、苦しそうにいきむ様子が見られることがあります。
また、過度に膨らんだ胃が横隔膜を押し上げ息苦しくなり、
不快感から体をのけ反らせたり、頻繁に泣いたりすることもあります。

ただし、新生児期は身体の構造上、どうしてもお腹が張りやすい時期です。

「心配のいらないお腹の張り」かどうかの見分け方は、こちらの記事をご覧ください。

「新生児のお腹が張る原因とは?」

吐き戻し、
溢乳(いつにゅう)

新生児は食道と胃の移行部にある下部食道括約筋が未発達なため
逆流が起こりやすく、飲んだ直後に口の端からミルクがタラッと垂れたり(溢乳)、
ゲップと一緒に少し出たりすることはよくあることです。

ただし、飲み過ぎてお腹が張り、
その圧迫(腹圧)によって吐いてしまっているケースも考えられます。
もし吐き戻しが頻繁に起こるようであれば、
胃の容量を超えて飲んでいる可能性がないか確認してみましょう。

軟便・下痢、便秘

飲み過ぎると消化が追いつかず、下痢気味になったり、
未消化の便が頻繁に出たりすることがあります。
その結果、お尻がかぶれやすくなる(肛囲皮膚炎)ことにもつながります。

また、お腹が張り過ぎてうまくいきめなかったり、
腸の自然な動きが妨げられたりすることで便秘になるケースもあります。

体重の著しい増加
(1日50g以上)

一般的に、退院後から生後1か月までの体重増加は、
1日あたり「約30~40g(出生体重の約1%)」が目安とされています。
もし、これが1日50〜60g以上のペースで増え続けているようであれば、
飲み過ぎている可能性があります。

ただし、新生児は、出生後3~5日までは出生時体重の5~10%程度まで体重が減少し、
生後7~14日頃には出生時体重に戻り(生理的体重減少)、
その後1か月頃までは最も体重が増える時期です。
また、成長には個人差も大きいため、単に増加量が1日50gを超えているからといって、
必ずしも「飲み過ぎ」とは限らない点に注意してください。

良好とされる体重増加の目安については、こちらの記事をご覧ください。

「新生児にあたえる
ミルクの量の目安とは?」
Point

過飲症候群

「過飲症候群」は病気ではありません。
あくまで、ミルクの飲み過ぎによって生じている「赤ちゃんの体の不調」を指す言葉です。
そのため、医療が必要なものではなく、飲ませ方を見直して適量に調整することで、
自然と症状は改善していきます。

飲み過ぎを防ぐ
4つの対応策とは

ここでは、上記のような「飲み過ぎサイン」が見られた場合に、家庭でできる対応策を紹介します。

①母乳やミルクの
1回量・頻度を
見直す・記録する

まずは、現在の母乳・ミルクの授乳量・頻度が適正か確認しましょう。
新生児は胃の容量が非常に小さいため「少量を頻回に!」が基本です。
生まれたての赤ちゃんの胃はサクランボほどの大きさで、
3日目でクルミ大、1週間でアプリコット大、
1か月で卵大まで急速に容量が増加します。

補 足

【新生児の1回の授乳量と回数の目安】

胃の容量は個人差もあるため、上記の1回の授乳量と頻度はあくまで目安です。重要なポイントは空腹と満腹のサイン(活発な吸啜からの吸う速度の低下、握っていた手の力が抜ける(グーからパー)、眠りにつく)をよく観察することです。特に粉ミルクの場合は、「哺乳瓶を空にする」習慣を避け、満腹のサインに気づいたら授乳を止めましょう。
※吸啜(きゅうてつ)とは、赤ちゃんが乳頭や哺乳瓶を口に含んで吸う動作のこと

新生児期のミルク量の目安について、くわしくはこちらの記事を参考にしてください。

「新生児にあたえる
ミルクの量の目安とは?」

②授乳間隔を空ける・
あやし方を変える

泣くたびにミルクをあげていませんか?
赤ちゃんが泣く理由は空腹だけではありません。

「暑い・寒い」「オムツが濡れている」「眠い」「抱っこしてほしい」など様々です。

前回の授乳から2~3時間経っていない場合は、
抱っこやオムツ替えで一度様子を見てもよいでしょう。

③ゲップをしっかりとさせる

赤ちゃんは授乳後にきちんとゲップが出ていますか?
胃の中に空気がたまっていると、お腹が張り、吐き戻しの原因になります。
授乳の途中でも苦しそうにしていたら、
一度哺乳瓶を離してゲップをさせてみてもよいでしょう。

【ゲップの方法】

縦抱きのゲップ: 赤ちゃんの顎を肩に乗せ、背中を下から上へ優しくさするか、トントン叩きます。

座らせてのゲップ: 赤ちゃんを膝の上に少し前かがみに座らせ、片手で胸と顎を支え、もう片方の手で背中を優しくさすります。
ただし、5分ほど試しても出ない場合は、無理に続けず自然に出るのを待ちましょう。

④哺乳瓶の
乳首(ニップル)を見直す

「新生児用(SSサイズなど)」の乳首を使用していますか?
哺乳瓶の乳首の穴が大きすぎると、
軽い力で大量のミルクが出てしまい、あっという間に飲み干してしまいます。

月齢に合ったもの、あるいは「出にくいタイプ」に変えることで、
飲むのに時間がかかり、満足感を得やすくなります。
1回の授乳時間の目安は10〜15分程度です。

「ただの吐き戻し」と
「病気」の見分け方

ここでは、赤ちゃんがミルクを吐いてしまう場合、飲み過ぎによる生理的な吐き戻しと、
すぐに受診が必要な病的な嘔吐の違いを解説します。

様子見で良いケース
(生理的溢乳)

  • 吐き方: 口の端からタラリと垂れる、ゲップと一緒に少し出る。
  • 吐いた後の様子: ケロッとしていて機嫌が良い。またすぐに飲みたがる。

赤ちゃんは逆流を防ぐしくみ(下部食道括約筋)が未熟で、
胃が小さく、授乳後の体位変化などでも吐き戻しが起こりやすいとされています。
体重が増えていて元気なら、少量の吐き戻しは問題にならないことも多いです。

受診が必要なケース
(病的嘔吐)

以下のような場合は、飲み過ぎではなく、
腸閉塞などの病気が隠れている可能性があります。
速やかに小児科を受診してください。

  • 吐き方:噴水のように勢いよく吐く(噴水状嘔吐)。
  • 吐物の色:黄~緑色(胆汁)、血が混じっている。
  • 全身状態:ぐったりしている、発熱がある、尿が少ない(脱水)、下痢が続く。
  • お腹の様子:お腹がパンパンに張って硬く、触ると激しく泣く。

赤ちゃんの様子を
観察しながら
飲み過ぎを見極めよう

新生児は口唇に触れるものを強く吸う反射(吸啜反射)があり、
満腹でも吸い続ける傾向があります。
満腹のサイン(吸う間隔が空く、手をリラックスさせて開く、眠りにつくなど)
に気づいたら、授乳を終了しましょう。

新生児の過飲症候群のサインとして、授乳後に苦しそうで落ち着かない、お腹が張る、
吐き戻しが増える、ゼロゼロと呼吸が苦しそう、過度の体重増加といった兆候がみられます。
体重増加は個人差もあるため、
1日あたりの増加量だけではなく成長曲線の推移も含めて判断する必要があります。
最終的には体重増加が適正か、オムツが1日に6回以上濡れているか、
嘔吐の程度などを観察し、良性の「過飲症候群」か、
病気が隠れていないかを判別する必要があるため、ご不安な場合は小児科医に相談しましょう。

医師からの
アドバイス

対策としては、無理のない1回量を心がけ、飲むペースを見直すことが基本です。
直前に授乳したばかりで泣くときは、抱っこやオムツ替えなどで様子を見るのも一つです。
不調が続く、黄色~緑っぽい嘔吐や噴水状嘔吐、おしっこが少ない、ぐったり感などがある場合は、早めに医療機関を受診してください。

【監修】:後藤高弘先生

日本小児科学会認定専門医
京都府立医大附属病院小児科に勤務したのち、京都府立舞鶴こども療育センター小児科医長、米国フィラデルフィア小児病院腫瘍科博士研究員、愛生会山科病院小児科部長を歴任し、現在は医療法人悠山会かつらがわキッズクリニックの院長を務める。

後藤高弘先生の
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参考資料

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