【医師監修】新生児の
お腹が張る
原因とは?
家庭でできる
対処法も解説
「赤ちゃんのお腹がパンパンに膨らんでいる気がする」
「苦しそうに泣いているけれど、原因がわからない」
生まれたばかりの新生児をお世話する中で、このような不安を抱えているママ・パパは少なくありません。
新生児期は身体の構造上、生理的にお腹が張りやすい時期です。
しかし、時には緊急の医療処置が必要なケースも隠れています。
本記事では、新生児のお腹が張る原因と、ご家庭ですぐに実践できる対処法を解説します。
生理的なお腹の張りとすぐに受診した方が良い病的なお腹の張りとの見分け方や、
上手な授乳姿勢・げっぷの出し方なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
新生児のお腹が張る…
これって普通?
受診の目安と見分け方
赤ちゃんのお腹の張りが気になる一方で、
「どこからが正常で、どこからが異常なのか」がわからないというママ・パパは多いです。
まずは、ご家庭で様子を見て良いのか、それとも病院を受診すべきか、その目安を確認していきましょう。
生理的な
「ぽっこりお腹」の特徴
新生児は腹筋が未発達なため、
そもそも腹壁が伸展しやすくカエルのようにぽっこりとした体型になります。
これは成長とともに腹筋がつけば自然と目立たなくなります。
以下の様子であれば、基本的には心配ないと考えて良いでしょう。
- 機嫌が良く、おっぱい・ミルクをよく飲む
- お腹を触ると柔らかく弾力があり痛がらない
- 便やおならが順調に出ている
- 体重が順調に増えている
注意が必要な
「病的なお腹の張り」
の特徴
一方で、以下のようなサインが見られる場合は、
病的な要因でお腹にガスや便が過剰に溜まり、苦しんでいる可能性があります。
- お腹がパンパンに膨らみ、触ると硬く、嫌がる
- おならや便が1~2日以上極端に出ていない
- 緑~黄色(胆汁性)の嘔吐を繰り返す
- 血便が出る、発熱を伴う、ぐったり感がある
特に、お腹がカチカチに硬く、触られるのを嫌がって激しく泣く場合や、
緑~黄色の嘔吐を繰り返す、イチゴジャム状の血便が出るなどのいずれかに該当する場合には、
緊急処置が必要な疾患(ヒルシュスプルング病、腸閉塞、腸重積、感染症など)
の可能性がありますので、迷わずにすぐに小児科を受診してください。
なぜ苦しそう?
新生児のお腹が張る
3つの主な原因
病気のサインがない場合、多くは身体の未発達や日常の授乳・排便リズムが関係しています。
代表的な原因は次の3つです。
空気を大量に飲み込んでいる
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだおっぱいやミルクを飲むのに慣れていないため、
授乳時に空気も一緒に飲み込んでしまいます。
また、泣くことでも空気を飲みこむことが多いため、
「お腹が張って苦しいから泣く」→「泣くことでさらに空気を飲み込む」
という悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。
母乳・ミルクの
「飲み過ぎ」の問題
新生児は授乳リズムも安定しておらず、満腹のサインもまだ分かりにくいことがあります。
特に哺乳瓶で授乳する際、つい「用意した分を飲み切らせよう」としてしまうと、
結果として飲みすぎにつながることがあります。
便秘により
ガスが蓄積している
新生児は腸の動きも未熟で、排便のリズムが整っていません。
お通じの不調で便が腸内に留まると、悪玉菌が増えてガスが発生します。
出口(直腸~肛門)が便で塞がれているため、ガスも排出しにくく、
お腹が風船のように膨らんでしまうことがあります。
今日からできる!
お腹の張りを解消する
対処法
お腹が張って苦しそうな赤ちゃんを楽にしてあげるために、自宅でできるケアをご紹介します。
授乳・げっぷ方法の工夫やガス抜きのポーズを取り入れてみましょう。
空気を飲み込まない
「授乳姿勢」を心がける
空気を飲み込む量を減らすには、正しい姿勢で授乳することが重要です。
げっぷ出しの
バリエーションを増やす
授乳後のげっぷは必須ですが、なかなか出ないこともあります。
一つの方法で出ない時は、体勢を変えてみましょう。
-
縦抱きスタイル(基本)
赤ちゃんのあごを大人の肩に乗せるように縦に抱き、背中を下から上へ優しくさすり上げます。トントンと軽く叩くのも有効ですが、胃に振動を与えるイメージで優しく行いましょう。
-
膝座りスタイル
ママやパパの膝の上に赤ちゃんを座らせ、少し前かがみにします。片手で赤ちゃんの胸とあごの下を支えて首がぐらつかないようにし、もう片方の手で背中を優しくさすったり、トントンしたりします。
お腹がほどよく圧迫されるので、胃の中の空気が上がりやすくなります。首がすわるまでは、必ず頭と首をしっかり支えてあげましょう。
-
うつ伏せ抱きスタイル
大人の太ももの上に赤ちゃんをうつ伏せにして乗せる方法です。片手で頭と首をしっかり支えながら、もう一方の手で背中を優しくさすります。
お腹に圧がかかることで、胃の中の空気が上に上がりやすくなります。
いずれのスタイルでも赤ちゃんが少し前傾姿勢になることがコツです。
げっぷ出しは、5分ほど試しても出ない場合は、無理に続けなくて大丈夫です。
またうつ伏せ抱きスタイルの場合、
げっぷが出ないからといってうつ伏せのまま寝かせるのは絶対に避けましょう。
SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが高まるため、寝かせるときは必ず仰向けにします。
ガス抜きポーズや
マッサージを行う
お腹に溜まったガスの排出を促す方法を取り入れることも効果的です。
授乳直後は避けて、お風呂上がりやおむつ替えのタイミングで行ってみましょう。
【ガス抜きポーズ(自転車こぎ運動)】
- 1.赤ちゃんを仰向けに寝かせます。
- 2.両膝裏を優しく持ちます。
- 3.自転車のペダルをこぐように、少し股が開いた状態で片足ずつ膝をお腹の方へ曲げ伸ばしします。 ※股関節が硬い場合は無理に行わないでください。
【「の」の字マッサージ】
- 1.赤ちゃんを仰向けにします。
- 2.ママの手のひらで、赤ちゃんのおへそを中心に、時計回り(「の」の字)にゆっくり円を描くように撫でます。
マッサージや運動の詳しい説明については以下の記事をご参照ください。
まとめ
新生児期は消化機能の未熟さによる嚥下した空気やガスの貯留、
腸内容物の停滞、さらに腹筋が未発達であるため、お腹が張りやすく、
授乳後は特にふくらんで見えることがあります。
赤ちゃんの機嫌が良く、しっかり授乳できている場合には
生理的なお腹の張りであることがほとんどで、基本的には心配はいりません。
ご家庭では、赤ちゃんの求めに応じた授乳ペース(オンデマンドフィーディング)を意識したり、
授乳中に空気を飲み込みにくい姿勢や授乳の途中や授乳後に
げっぷを促したりすることで、赤ちゃんが楽になることがあります。
さらに、お腹のマッサージや運動などを日々のケアに取り入れると、より効果的な場合もあります。
アドバイス
一方で、お腹がパンパンに張って硬い、苦しそうに激しく泣き続ける、緑〜黄色の嘔吐を繰り返す、血便が出る、ぐったりする、といった場合は緊急性があり、迷わずにすぐに医療機関を受診しましょう。
【監修】:後藤高弘先生
日本小児科学会認定専門医
京都府立医大附属病院小児科に勤務したのち、京都府立舞鶴こども療育センター小児科医長、米国フィラデルフィア小児病院腫瘍科博士研究員、愛生会山科病院小児科部長を歴任し、現在は医療法人悠山会かつらがわキッズクリニックの院長を務める。
後藤高弘先生の
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