新生児のミルクの
作り方とは?
温度や消毒、
保存方法まで
徹底解説
初めての育児において、赤ちゃんの健康に直結する
「ミルク作り」は、多くのママ・パパが不安を感じるポイントです。
この記事では、厚生労働省が推奨する『乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに
関するガイドライン』に基づき、新生児のミルクを安全に作るための
準備や手順、守るべきポイントをわかりやすく解説します。
「なぜミルクを溶かすお湯は70℃以上にする必要があるの?」
「作ったミルクはいつまで飲ませられる?」といった、
新米ママ・パパが抱きがちな疑問も解消していきましょう。
【準備編】調乳前の
洗浄・消毒方法
3ステップ
生まれたばかりの赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いため、調乳前の衛生管理が非常に重要です。
まずは、実際にミルクを作る前に行うべき器具の洗浄・消毒方法についてお伝えします。
STEP1. 手洗い
哺乳瓶や器具を触る前には、必ず石鹸と流水を使い、
指の間や手首まで丁寧に洗いましょう。
洗った後は清潔なタオルで水分を拭き取ります。
STEP2. 洗浄
哺乳瓶や乳首、スプーンなどの器具は、洗剤とお湯を使って丁寧に洗います。
特に哺乳瓶は、専用のボトルブラシや乳首用ブラシを使い、
ミルクの残りかす(脂肪分やタンパク質)を完全に取り除くことが大切です。
STEP3. 消毒
洗浄が終わった器具は、主に以下の方法で消毒を行います。
それぞれの特徴に合わせて選びましょう。
【実践編】安全な
ミルクの作り方
10ステップ
準備が整ったら、いよいよミルクを作ります。
ここでは、WHO(世界保健機構)とFAO(国連食糧農業機関)により
共同作成された「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに
関するガイドライン」を参考に、安全かつスムーズな調乳手順をご紹介します。
【ミルクの
基本の作り方】
- 1. 場所を整える
調乳を行うテーブルなどを清掃・消毒します。 - 2. 手洗い
石けんと流水で手を洗い、清潔なふきんで拭きます。 - 3. お湯を沸かす
飲料水を沸騰させます。
鍋なら「ぐらぐら」と沸騰するまで、電気ケトルならスイッチが切れるまで待ちます。 - 4. 分量の確認
粉ミルクのパッケージ説明を読み、必要な粉の量と水の量を確認します。 - 5. お湯を注ぐ(※70℃以上)
洗浄・消毒済みの哺乳瓶に、沸かしたお湯を注ぎます。
お湯は必ず70℃以上を維持し、沸騰後30分以上放置したお湯は使わないでください。 - 6. 粉ミルクを入れる
正確な量の粉ミルクを測り、哺乳瓶のお湯の中に加えます。 - 7. 溶かす
哺乳瓶をゆっくり振り、粉ミルクを完全に溶かします。 - 8. 冷ます
ミルクが混ざったら、流水を当てるか、氷水の入ったボウル等に哺乳瓶を浸け、
授乳できる温度まで冷やします。 - 9. 水滴を拭く
哺乳瓶の外側に付いた水を、清潔なふきんで拭き取ります。 - 10. 温度確認・授乳
腕の内側に少量のミルクを垂らして確認します。
腕の内側に垂らして熱くない(人肌程度)温度になっていれば完成です。
安全なミルク
作りのために
重要な5つのポイント
ここでは、多くの新米ママ・パパが疑問に思いやすい点について、
その中でも守ってほしい重要な5つのポイントについてお伝えします。
なぜ調乳時には
「70℃以上」の
お湯が必要なの?
粉ミルクにごく稀に含まれることがある「サカザキ菌」や
「サルモネラ菌」といった細菌を殺菌するためです。
これらの菌は70℃以上の熱で死滅するため、WHOや厚生労働省では、
調乳時に70℃以上のお湯を使用することを強く推奨しています。
粉ミルクは厳しい品質管理のもとで製造されていますが、これらの菌は製造段階を含め、
開封後や授乳前の調乳時などにも混入する可能性があります。
とくにサカザキ菌は、もし感染すると髄膜炎や腸炎などを引き起こす危険性があります。
感染した乳幼児の20~50%が死亡したという事例報告もあり、
免疫力の低い新生児はとくに注意が必要です。
水道水で
大丈夫?
調乳に最適な
水の種類とは
日本の水道水は水質基準が厳しいため、赤ちゃんのミルク作りにも問題なく使用できます。
注意が必要なのはミネラルウォーターです。
硬度の高い「硬水」はミネラル分が多く、赤ちゃんの未熟な腎臓に負担をかける恐れがあります。
市販の水を使う場合は「軟水」を選ぶか、ベビー用品店で販売されている
「純水(調乳用水)」を選びましょう。
調乳後の
ミルクは
何時間以内が目安?
保存方法と期限について
調乳後のミルクは、栄養が豊富なため細菌が繁殖しやすい状態です。
室温で放置すると、わずかな細菌でも急速に増殖します。
そのため、厚生労働省は、「調乳後2時間以内に授乳されない場合は廃棄すること」としています。
ただし、調乳後に口をつけていない状態で冷蔵庫(5℃以下)で保存した場合には、
24時間以内であれば赤ちゃんにあげても問題ないとされています。
飲み残しは
あとで飲ませても
いい?
廃棄すべき目安時間
赤ちゃんが一度口をつけた哺乳瓶には、唾液に含まれる細菌が入り込んでしまいます。
たとえ少量でも、飲み残したミルクを次の授乳時に与えてはいけません。
通常、30分程度から細菌が増殖しはじめるため、口をつけて30分以内に
飲み切らない場合は、残りは廃棄しましょう。
哺乳瓶の
消毒はいつまでする?
必要な月齢の目安について
明確な基準は定められていませんが、哺乳瓶の消毒は赤ちゃんの免疫力が
高まってくる生後6か月頃までが目安と言われています。
ただし、その後も赤ちゃんの体調が優れない時や、梅雨・夏場など雑菌が
気になる時期は、消毒を継続するとより安心です。
外出先での
ミルクの作り方
赤ちゃんとお出かけの際には、衛生面を考慮し、家で作ったミルクを
持ち歩くのではなく「外出先で作る」準備をしましょう。
ここでは、外出時の持ち物リストと外出先でスムーズに調乳する手順についてお伝えします。
【持ち物リスト】
- ・70℃以上のお湯を入れた魔法瓶
- ・湯冷ましを入れた水筒や「調乳用水」の入ったペットボトル
- ・ 1回分ずつ計量した粉ミルク(スティックタイプが便利)
- ・消毒済みの清潔な哺乳瓶
【外出先での
調乳手順】
(湯冷まし活用法)
- 1. 消毒済みの清潔な哺乳瓶に、1回量の粉ミルクを入れます。
- 2. 魔法瓶のお湯(70℃以上)を、できあがり量の半分〜2/3程度まで注ぎ、
ミルクをしっかり溶かします。 - 3. 残りの量まで「湯冷まし」や「調乳用水」を加え、温度を調整します。
この方法であれば、流水がない場所でも素早く適温のミルクを
作ることができます。
また、最近では常温で保存でき、開封してすぐに飲ませられる「液体ミルク」も
普及しています。
粉ミルクと比べてコストが高いという側面もありますが、調乳の手間が
かからないので便利です。
状況に合わせて、上手に使い分けると良いでしょう。
新生児のミルク
作りでよくある質問
最後に、ママ・パパからよく寄せられる疑問にお答えします。
Q. ミルクの作り置きは
してもいいですか?
A. 原則として作り置きは推奨されません。
毎回、授乳の直前に作るのが最も安全です。やむを得ない事情で事前に作る場合は、
調乳後すぐに流水で粗熱をとり、必ず冷蔵庫(5℃以下)で保管してください。
ただし、その場合でも24時間以内に使い切り、与える直前に温め直しましょう。
Q. 電子レンジで
ミルクを
温めてもいいですか?
A. 電子レンジの使用は避けてください。
電子レンジで加熱すると、中身の温度が均一にならず、「加熱ムラ」が生じます。
中身の一部だけが高温になり、赤ちゃんが火傷をする事故につながる危険性があります。
Q. 赤ちゃんが
便秘気味。
ミルクを薄めても
いいですか?
A. 自己判断でミルクの濃度を変えるのはNGです。
粉ミルクは、既定の濃度で最適な栄養バランスになるよう設計されています。
薄めたり濃くしたりすると、赤ちゃんの消化吸収に負担がかかったり、
栄養不足になったりする原因になります。
便秘など気になる症状がある場合は、自己判断せずかかりつけの
医療機関に相談しましょう。
【監修】:藤原智沙恵
薬剤師、京都大学大学院医学研究科に在籍。
小児科門前薬局で5,000人以上の乳幼児や家族に対して服薬指導・育児の健康相談の実績がある。現在は、株式会社Officeファーマヘルスの代表として、疾患啓発やヘルスプロモーションを目的とした医療・健康分野の情報発信・企画に携わる。
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